水害は突然に

らくの歯磨きジェルが残り少なくなったので、動物病院に買いに出かけた。
お会計の時、カウンターの横を何気なく見ると、「ビオベテリナリー」という商品があって、『食欲不振の犬猫に』などと書かれている。


先生によると、嗜好性が高く作られているので、フードなどに振りかけるとよく食べるようになる、というサプリメントだという。
メーカーの話では、犬ではけっこうな効果が確認されているそうだ。
主原料はアミノ酸だが、それで栄養が補えるというものではなく嗜好性のための風味付けという程度の量なので、あくまでも『フードの嗜好性を高めるためのサプリ』として使っていただきたい、と。
慢性腎不全の猫にも、他のどんな病気の猫さんにもオッケだそうだ。


その説明を聞いて、思わず
「いっちゃんのときにあったらなあ。」
という言葉が出た。
あれ?こんなこと、言うつもりじゃなかったのにな、と思いながら
「なかなか食べてくれるものがなくて、食べてもらうのがもう大変で大変で〜」なんて、ヘラヘラ軽〜く続けたつもりだったのに、突然にブワッと涙が出てダム決壊。


「そうですね・・・。
慢性腎不全は末期になると、本当に具合が悪いので。本当に具合の悪いときには、何をやっても食べさせるのは難しいですから。
そこまでの状態ではなかったら、これはけっこう効果があるようです。
・・・犬には。」


という先生の話をうつむいて聞き、ダムが決壊してるくせに「犬かよ!」と心の中でツッコミを入れ、もうやめればいいのに、さらにワケの分からん話を続けるワシ。
ワシ「らくがいつか、慢性腎不全になったら使ってみます・・・。
なってほしくないけど、老衰で眠るようにがいいけど、猫が、最後は老衰で・・・ってあるんでしょうか。
人間だって、どこも悪いところがなくて、ある日『老衰』で、蝋燭の火が消えるようにってないように思うのですが。」


先生「老衰でっていうのは、多臓器不全でしょう。
・・・(このあとの先生の話が思い出せない)・・・」


ワシ「いっちゃんの慢性腎不全は、悪くない最後だったように思います。
その当時は、そう思えませんでした。
なんで病気になっちゃったんだろうって。
でも今は、いろいろな病気があって、誰でも何かしらで旅立つのなら、いっちゃんの慢性腎不全は、猫として悪くない最後だったかなって。」


先生「いっちゃん、20歳でしたよね。
天寿を全うしましたよ。いっちゃんは本当に、天寿を全うしました。」


ワタシがベソベソしていたので、先生は慰めてくれたのだと思うのだけど、そう言ってもらえたことで、どこか満足した気持ちになった。
そしてこの後もなにか少し、先生が話してくれたのだけど、思い出せない。
うつむきながらお礼を言って、秋に涼しくなった頃、らくを健康診断に連れてきますのでお願いしますと挨拶をして、病院を出た。


なんで、外で、しかも獣医さんでダム決壊するのワシ?


10060119
カイヌシーカイヌシー

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オレさまが、

10060115
ついてる、みょん!

そうだね。
らくがいてくれるから大丈夫。
ありがとう〜!
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カイヌシの、せわは

10060114
たいへん、みょん



******

『いっちゃんは天寿を全うした』

この言葉を素直に受け取れたのは、今日が初めてのような気がする。
慢性腎不全が発覚する前から、もっと気をつけてあげていれば、もっともっと長生きしてくれたかもしれない。
ずっとそう思っているから。
老齢になってからは、せめて冷暖房やご飯に、もっと気を遣ってあげれば良かった。


それでも、ほんの少しだけ。
いっちゃんは逝くべきときに、時を間違えずに旅立っていったのかな・・・とも思う。

— posted by hipi at 11:08 pm  

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