高性能毛皮の不思議

久々に晴れて、一週間ぶりのお日様。
光合成に励むラクシュミーさん。
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昨日まで一週間も雨が降りっぱなしで、ぎゃおす長屋はジトジトジトジト。
らくの毛皮にキノコでも生えたらどうしようと心配になり、寝ているラクシュミーの身体を撫で撫でチェックしてみたが、フンワリフカフカに乾いてて、何かが生えるような気配はない。
ちょっと感動。
こんなに空気が湿気ているのに、らくの毛皮は、乾燥機から出したばかりの洗いたての超高級タオルみたいな手触りだ。
(ついでに言うと、お風呂にも一回も入ったことないのに!)


生きている哺乳類にキノコなんか生えないし、猫は自分でグルーミングをするから毛皮はたいてい、いつもフカフカだ。
当たり前のことだけど、それって、『元気で健康なときには』という状況下での『当たり前』なんだよね。


いっちゃんもいつもフカフカで、毛皮に顔をうずめてクンカクンカするとお日様の匂いがした。
落ち込んだり悲しかったりするときでも、いっちゃんのフカフカと体温を感じながらクンカクンカすると、とても気持ちが落ち着いた。
ワタシの大好きな手触りと匂い。


けれど慢性腎不全になって体調を崩してからは、毛皮にも変化が現れた。
空気が乾燥しているときにはパサパサになり、湿度が高い日には、なんとなくじっとり湿っているような感じになる。
闘病も後半になると、気温が高い日には身体も熱く、寒い日には体温も低くなって、一生懸命に撫でてマッサージをしても、なかなか温かくならない。
冷暖房で室温を一定にしているのに、なぜか外気温に呼応して体温が変化するのが不思議だった。
王様は哺乳類なのに、変温動物になってしまった。


王様は毛づくろいを放棄したので、ワタシタチ家来がブラッシングをしたり、固く絞ったお湯タオルで拭いたりしたけれど、王様が自分でグルーミングをしていたときのようなフカフカで美しい毛並みにはならなかった。
いつもどことなく疲れたような、汚れたような感じは取り除けなかった。
それから、ちょっと埃っぽいようなお日様の匂いがした身体は、薬のにおいに変わっていった。


それでも、どんなときでもいっちゃんは、2DKぎゃおす王国のピカピカに輝く太陽だけれど。
太陽王、いっちゃんだもん。
ルイ14世なんていう、フランスの変な髪型をしたオッサンなんか目じゃないもん。


話しを戻して、というようにラスト1年のいっちゃんの毛皮は、気温や湿度に左右されて温かかったり温かくなかったり、パサパサだったりジットリしたりしていた。
らくは、元気だった頃のいっちゃんと同じ、暑くても寒くても、空気が乾燥してても湿っていても、いつもフカフカで温かくて、艶々で美しい。


身体って、毛皮って高性能だな。
当たり前のことだけど、不思議でありがたくて、なんてスゴいことかと思う。


********************
去年の晩春に三毛ちゃんが、長屋の共有敷地の片隅で赤ちゃんを3匹産んだときのこと。
生後2週間くらいのときに大雨が降り、赤ちゃんたちが気になったので、三毛ちゃんが出かけるのを待ち、夜、巣を覗いた。
トーチに照らされたオレンジ色の光の中で、2匹の赤ちゃんは勾玉のようになってくっ付きあって眠っていたが、もう1匹は10cmくらい離れたところに一人でいて、様子が違うのが一目で分かった。


他の二匹はポワポワした毛並みなのに、暗い光の中でも分かるくらいに、一匹だけびっしょりに濡れているように見える。
タオルを取ってきて、恐る恐るびっしょりの子をつまみ上げてみたら、もう、息をしていなかった。
昼間に覗いたときには、3匹ともゴニョゴニョ動いていたから、息をしなくなってから何時間も経っているはずはないのに、一目でわかる異変があった。
びっしょりといっても、雨があたる場所ではない。
毛並みが空気中の湿気を吸い込んでしまったかのようだった。


念のために、くっ付きあって眠っている2匹の身体にも触れてみた。
温かくて、毛皮はポワポワと乾いていた。
それから、濡れて冷たくなった小さい身体をタオルで拭きながら、命ってこういうことなんだなと思った。


ちなみに、翌日三毛ちゃんは、子猫を咥えて引越しをしてしまった。
子供が1匹減っているのに気がついて、危機感を持ったとしか思えない。
一説によると、猫の算数は『いっこ、にこ、いっぱい』らしいので、3から2への変化に気がついたのだと思う。
でも、あの子をそのままにしておくことはできなかったよなあ。
ダメモトで、かわりに子猫の縫いぐるみでも置いてみればよかった。


三毛ちゃんの引越し先は、ナナメ向かいのOさんのお庭の中のどこかだったが、広い敷地の中、どこだかはOさんにも分からなかった。
そして2ヵ月後、三毛ちゃんに連れられて、チョロチョロ走り回る子猫2匹が路地にデビューした。
その時点で、人間に対しての警戒を絶対に怠らないという三毛ちゃんの教育は、しっかりと子供たちに浸透していたようだ。
どうにもこうにも、捕まらない。
おもちゃを振ってみたり、ご飯で手なずける作戦をとってみたりしたが、少しでもワタシが動くと逃げてしまう。
そうこうしているうちに、子猫たちはグングン育って中猫になり、路地から見えなくなった。
縄張り獲得のため、新天地へ出発したのだと思う。


三毛ちゃんは、子猫なんて見たこともないって顔で、まるで何事もなかったかのように以前と同じ生活に戻った。
今日も路地をうろうろしたり、塀の上で昼寝をしたり、屋根の上を散歩したりしている。
そして相変わらず、近寄ろうとすると逃げる。
そこは譲れないらしい。
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三毛ちゃん。今年の8月5日。

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もう一枚


— posted by hipi at 11:36 pm  

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2008.8
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